Microsoft Forms で簡単ワークフロー:その利点と活用法

社内のワークフローシステム構築を検討する際、手軽に導入できてすぐに使えるツールがあれば嬉しいですよね。Microsoft Forms は、まさにそのようなニーズに応える強力なツールです。今回は、その利点とワークフローシステムにおける活用法について詳しく解説します。

Microsoft Forms とは?

Microsoft Forms は、Microsoft 365 の一部として提供される、アンケート、クイズ、投票、そしてデータ収集のためのフォームを簡単に作成できるウェブベースのツールです。直感的なインターフェースで、誰でも専門知識なしに、視覚的に魅力的なフォームを短時間で作成できます。

ワークフローシステムにおける Microsoft Forms の役割

前回の「社内ワークフローシステム設計概要」Canvas でも触れたように、Microsoft Forms はワークフローシステムにおいて「案件の申請フォーム (UI)」として非常に有効な役割を果たすことができます。

主な役割:

  1. 新規案件の申請受付: ユーザーが新しいワークフロー案件を申請する際の入り口として機能します。

  2. 簡易データ収集: 案件の初期情報(案件名、申請者、概要など)を効率的に収集します。

Microsoft Forms をワークフローに組み込む利点

Microsoft Forms を申請フォームとして活用することには、いくつかの明確な利点があります。

1. 簡単な作成と導入

  • 直感的なUI: ドラッグ&ドロップで質問項目を追加できるため、特別なトレーニングなしに誰でも簡単にフォームを作成できます。

  • 迅速な展開: 複雑な設定なしに、数分でフォームを公開し、すぐに利用を開始できます。これは、スピードが求められる初期導入フェーズで特に大きなメリットとなります。

  • コーディング不要: プログラミングの知識が一切不要なため、IT部門の負担を軽減し、現場の担当者が自らフォームを管理することも可能です。

2. Microsoft 365 とのシームレスな連携

  • Power Automate との連携: Microsoft Forms が真価を発揮するのは、Power Automate との強力な連携です。フォームの回答が送信されると、その回答をトリガーとして Power Automate フローを自動的に起動できます。これにより、フォームへの入力がそのまま SharePoint リストへのデータ登録、担当者への通知、承認フローの開始など、次のアクションへ繋がります。

    • 例:「Microsoft Forms の新しい応答が送信されるとき」というトリガーを使用し、フォームに入力されたデータを SharePoint リストに自動で追加し、ステータスを「申請中」に設定する、といった自動化が可能です。

  • OneDrive / Excel Online へのデータ保存: フォームの回答は自動的に Excel ファイルとして OneDrive に保存され、いつでも集計・分析が可能です。

3. 利用者の利便性

  • マルチデバイス対応: PC、タブレットスマートフォンなど、あらゆるデバイスからアクセスしてフォームに入力できるため、場所を選ばずに案件を申請できます。

  • シンプルなインターフェース: フォームはシンプルで見やすいデザインが多いため、入力に迷うことなく、スムーズに利用できます。

Microsoft Forms を活用する際の考慮点(欠点)

一方で、Microsoft Forms にはいくつかの制限もあります。

  • デザインの自由度の低さ: フォームのレイアウトやデザインのカスタマイズ性は、Power Apps などに比べると限定的です。ブランディングに厳密に従う必要がある場合や、非常に複雑なUIを必要とする場合には向かない場合があります。

  • 複雑な入力制御の限界: SharePoint の「ユーザーまたはグループ」列のような特定の複雑な列タイプに直接連携させるには、Power Automate で追加の変換処理が必要になる場合があります。また、入力値のリアルタイムな検証や、回答内容に応じた高度な分岐表示などは、Power Apps の方が得意です。

  • 大規模システムの申請フォームとしては限界: 非常に多くの入力項目や複雑な条件分岐、複数のデータソースとの連携が必要なエンタープライズレベルの申請フォームとしては、Power Apps やカスタム開発の方が適している場合があります。

まとめ

Microsoft Forms は、その簡単さMicrosoft 365 エコシステムとのシームレスな連携により、社内ワークフローシステムの「申請」フェーズを非常に効率的に立ち上げることができるツールです。特に、以下のような場合に最適です。

  • 迅速にワークフローを導入したい

  • 複雑なプログラミング知識なしでフォームを作成したい

  • 初期情報の収集を簡素化したい

  • Power Automate と連携して自動化を進めたい

まずは Microsoft Forms と Power Automate を組み合わせて、簡単なワークフローを試してみてはいかがでしょうか。その手軽さに驚くことでしょう。より高度な要件が出てきた際には、Power Apps への移行もスムーズに検討できます。