現代のパソコンやスマートフォンは、複数のアプリや処理を同時に動かすことができます。こうした仕組みを支えているのが「マルチタスク」や「マルチスレッド」と呼ばれる技術です。
名前は似ていますが、それぞれ意味が異なります。この記事では、「マルチタスク」と「マルチスレッド」の違いと関係について、初心者にもわかりやすく解説します。
マルチタスクとは?
マルチタスク(Multitasking)とは、複数のアプリや処理(=プロセス)を同時に実行することを指します。
実際の例
たとえば、次のようなことが同時にできるのがマルチタスクです。
-
YouTubeで音楽を再生しながら
-
Wordで文章を作成し
-
メールの通知を受け取る
これらは別々の「プロセス」として動作しており、OSがCPUの処理時間を分けて同時に動いているように見せています(※実際には超高速で切り替えています)。
マルチタスクの種類
-
プリエンプティブマルチタスク:OSが強制的にプロセスを切り替える(Windows、Linuxなど)
-
協調的マルチタスク:各プロセスが自発的に制御を譲る(古いOSで使用されていた)
マルチスレッドとは?
マルチスレッド(Multithreading)とは、1つのプロセス(アプリ)の中で複数の処理単位(スレッド)を同時に動かすことです。
実際の例
たとえばWebブラウザの場合、
-
メインスレッド:画面描画やユーザー入力の処理
-
ダウンロードスレッド:ファイルをバックグラウンドで取得
-
JavaScriptエンジン:スクリプトを別スレッドで実行
といった具合に、1つのアプリ内で複数のスレッドが同時進行しています。
違いを簡単にまとめると
項目 | マルチタスク | マルチスレッド |
---|---|---|
対象 | 複数の「プロセス(アプリ)」 | 1つのプロセス内の「スレッド(処理単位)」 |
管理単位 | OSがプロセス単位で管理 | OSまたはアプリがスレッド単位で管理 |
メモリ空間 | 各プロセスで独立 | 同一プロセス内で共有 |
代表的な用途 | アプリの同時起動 | 並列処理、UIとバックグラウンド処理の分離 |
実行効率 | スレッドより負荷が大きいことがある | 軽量で効率的 |
両者はどちらも重要!
-
マルチタスクは、ユーザーが複数のアプリを同時に使える環境を提供します。
-
マルチスレッドは、1つのアプリが内部で効率的に並行処理する手段です。
現代のOSやアプリは、このマルチタスクとマルチスレッドの両方をうまく使い分けて、高速で快適な動作を実現しています。
まとめ
用語 | 説明 |
---|---|
マルチタスク | 複数のプロセスを同時に実行(アプリ間の並列) |
マルチスレッド | 1つのプロセス内で複数の処理を同時実行 |
パソコンやスマホを使っていて「なぜこんなにいろんなことが同時にできるのか?」と疑問に思ったら、ぜひこのマルチタスクとマルチスレッドの存在を思い出してみてください。