産業用オートメーションの世界では、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)やモーションコントローラーなど、さまざまなハードウェアを使って機械を制御するのが一般的でした。しかし、近年、その常識を覆す画期的なソフトウェアが登場しました。それが、ドイツのベッコフオートメーション社が開発した「TwinCAT(ツインキャット)」です。
TwinCATのすごいところ、3つのポイント!
TwinCATは、産業用PC上で動作するソフトウェアでありながら、従来の専用ハードウェアと同等、あるいはそれ以上の性能を発揮します。その秘密は、以下の3つのポイントにあります。
1. PCをPLCに変身させる!
TwinCATの最大の特徴は、一般的なWindows PCを、PLCやモーションコントローラー、ロボットコントローラーとして機能させることです。これにより、複数の専用コントローラーを一台のPCに統合することができ、システムのシンプル化とコスト削減を実現します。
TwinCATは、Windowsのリアルタイム性を向上させる独自の技術を用いることで、通常のOS上では難しいミリ秒単位の精密な制御を可能にしています。
2. IEC 61131-3準拠で開発がスムーズ
TwinCATは、PLCプログラミングの国際標準規格である「IEC 61131-3」に準拠しています。これにより、既存のPLCプログラミングの知識をそのまま活用でき、ラダー図(LD)、ファンクションブロック図(FBD)、ストラクチャードテキスト(ST)など、おなじみの言語でプログラムを開発できます。
3. EtherCATとの相性抜群!
TwinCATは、同じくベッコフオートメーション社が開発した超高速な通信プロトコル「EtherCAT」と組み合わせて使うことで、その真価を発揮します。TwinCATはEtherCATのマスターとして機能し、接続された多数のI/Oデバイスやモーター、センサーなどをリアルタイムに制御できます。これにより、高速かつ大規模な制御システムを効率的に構築することが可能になります。
どんな分野で使われているの?
TwinCATの柔軟性と高性能は、以下のような幅広い分野で活用されています。
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工作機械: 高速・高精度な多軸制御により、複雑な加工を実現します。
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ロボット: ロボットのキネマティクス制御や、複数のロボットの協調制御に利用されます。
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半導体製造装置: 高速なウェハ搬送や精密な位置決め制御に不可欠です。
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ビルオートメーション: 空調や照明、セキュリティシステムなどの統合制御に用いられます。
まとめ
TwinCATは、PCを産業制御の万能ツールへと変貌させる、革新的なソフトウェアです。ハードウェアの統合、標準規格準拠、そしてEtherCATとの親和性という3つの強みにより、産業オートメーションの未来を切り拓いています。
もし、あなたが制御システムのコスト削減や、より高度な制御に挑戦したいと考えているなら、TwinCATは強力な選択肢となるでしょう。