皆さん、こんにちは!スマートフォンの電波がどこでもつながる未来について、これまで衛星通信やDTCサービスなど、様々な革新的な技術をご紹介してきました。しかし、もう一つ忘れてはならない重要なプレイヤーがいます。それが、ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイル(HAPS Mobile Inc.)です!
HAPSモバイルは、通信の世界に全く新しいアプローチで「空飛ぶ基地局」を導入し、既存の通信インフラを補完する形で、真の「圏外ゼロ」を目指しています。
HAPSモバイルとは?ソフトバンクが描く成層圏プラットフォーム
HAPSモバイルは、その名の通り「High Altitude Platform Station(高高度プラットフォーム局)」の技術に特化したソフトバンクの子会社です。彼らが開発しているのは、成層圏を長期間(数ヶ月単位!)にわたって飛行し続けることができる大型の無人航空機「Sunglider(サングライダー)」です。
この「Sunglider」に携帯電話の基地局機能を搭載し、地上約20kmの成層圏から広範囲にわたってモバイル通信サービスを提供するという、まさにSFのような構想を現実のものにしようとしています。
なぜ「成層圏」なのか?HAPSモバイルが選んだ空の舞台
HAPSモバイルが、あえて成層圏を通信プラットフォームとして選んだのには、明確な理由があります。
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気象の影響を受けにくい安定した環境: 成層圏は、地上の雲や雨、風などの気象現象がほとんどなく、非常に安定した環境です。これにより、航空機型プラットフォームの長期間・安定した運用が可能です。
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衛星と地上基地局の中間的なメリット:
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環境への配慮と運用コスト: ソーラーパネルで発電して飛行するため、燃料をほとんど必要とせず、環境負荷が低いのが特徴です。また、衛星の打ち上げに比べて運用コストも抑えられます。
「Sunglider」が実現する未来の通信インフラ
HAPSモバイルが開発を進める「Sunglider」は、以下のような形で私たちの通信環境を大きく変える可能性を秘めています。
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デジタルデバイドの解消: 携帯電話の電波が届かない山間部、離島、過疎地域など、基地局の設置が経済的に難しい場所でも、HAPSからの電波によりブロードバンド通信が提供可能になります。これにより、地域間の情報格差(デジタルデバイド)の解消に大きく貢献します。
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災害に強いレジリエントな社会へ: 地震、津波、洪水などの大規模災害時には、地上の通信インフラが寸断されることがあります。HAPSは、地上インフラに依存せず上空から通信エリアを構築できるため、災害時の安否確認や情報収集の「最後の砦」として重要な役割を果たすことができます。
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新たなビジネスと産業の創出: 広大なエリアでのIoTデバイス連携、農業や漁業におけるスマート化、空からの広域監視など、HAPSはこれまで通信の制約で実現が難しかった様々な分野で、新たなビジネスモデルやサービスを生み出す可能性を秘めています。
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5G/6G時代の空の基地局: 将来の5G、さらにその先の6G時代において、HAPSは地上の基地局と連携し、より広範囲で高密度な通信エリアを構築する「空の基地局」として、重要な役割を担うことが期待されています。
HAPSモバイルのこれまでの実績と今後の展望
HAPSモバイルは、米国のエアロバイロメント社との合弁事業を通じて、HAPS航空機の開発を進めてきました。2020年には、米国の成層圏における試験飛行で、長時間の連続飛行に成功し、LTE通信の実証も行っています。
ソフトバンクは、HAPSを「非地上系ネットワーク(NTN: Non-Terrestrial Network)」の中核技術の一つと位置づけ、衛星通信や地上の5G/6Gネットワークと融合させることで、途切れない通信インフラの構築を目指しています。
まとめ:HAPSモバイルが切り拓く「空からの通信革命」
HAPSモバイルが取り組む成層圏プラットフォーム「HAPS」は、まさに「空飛ぶ基地局」として、私たちの通信の未来を大きく変える可能性を秘めています。地理的な制約や災害による通信途絶という課題を克服し、より便利で安心な社会の実現に貢献するでしょう。
ソフトバンクが子会社として力を入れているこのHAPSモバイルの挑戦から、今後も目が離せません!