Pythonは、そのシンプルな文法と豊富なライブラリにより、データサイエンス、Web開発、自動化など幅広い分野で愛用されています。しかし、しばしば「Pythonは実行速度が遅い」という批判に直面します。この認識は正しい部分もありますが、現代のPython開発においては、その遅さを補う多くの解決策が存在します。
なぜPythonは「遅い」のか?
PythonがC++やJavaといったコンパイル言語と比較して実行速度が遅いとされる主な理由は、その実行モデルにあります。
1. インタープリタ言語である
C++やJavaは、コードを実行前にすべて機械語に翻訳(コンパイル)しますが、Pythonはコードを一行ずつ読み込みながら実行するインタープリタ言語です。この逐次的な解釈と実行のプロセスが、オーバーヘッドとなり速度を低下させます。
2. 動的型付けである
Pythonは動的型付け言語であり、変数の型が実行時(ランタイム)に決まります。このため、インタープリタは常に型のチェックを行いながら処理を進める必要があり、静的型付け言語のような最適化が難しくなります。
3. GIL(Global Interpreter Lock)の存在
標準的なPython処理系(CPython)にはGILという仕組みがあり、同時に複数のスレッドがPythonバイトコードを実行するのを防ぎます。これにより、マルチスレッドを用いた並列計算による高速化が妨げられ、特にCPUを多用する処理でボトルネックになります。
他言語との比較:用途による使い分け
Pythonは、処理内容によって他の言語に速度で劣りますが、すべてにおいて不利というわけではありません。
Pythonの遅さを解消する対策
Pythonの遅さは、適切なツールとライブラリを使うことで、ほとんどのケースで問題にならなくなります。
1. 高速な外部ライブラリの活用
Pythonの科学技術計算やデータ分析の多くは、内部的にC言語やFortranで実装された高速なライブラリに処理を委ねています。
2. 計算処理の並列化
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multiprocessing: 複数のプロセスを使うことでGILの影響を避け、マルチコアCPUをフル活用して計算を並列化する。 -
concurrent.futures: プロセスやスレッドの管理をシンプルにし、並列・並行処理を容易にする。
3. JITコンパイラの利用
まとめ
Pythonはインタプリタ型言語であるため、純粋なCPU計算速度ではコンパイル言語に劣ります。しかし、その弱点は高速なC言語ベースのライブラリ(NumPy, Pandasなど)や並列処理、JITコンパイルといった技術で効果的にカバーされています。
開発者は、実行速度がボトルネックとなる部分を見極め、そこだけを最適化(C言語での実装やNumbaの利用など)すれば良く、それ以外の大部分はPythonの生産性の高さを享受できるのです。