AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)の導入を成功させるためには、事前に綿密な計画が必要です。その計画を立てる上で中心的な役割を果たすのが、搬送シミュレーションです。では、具体的にどのような内容を分析し、何がわかるのでしょうか?
1. 仮想空間でのモデル構築
まず、シミュレーションの出発点となるのが、現実の倉庫や工場のレイアウトをデジタル上に再現するモデル構築です。これには以下の要素が含まれます。
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施設レイアウト: 壁、棚、通路、作業ステーション、充電エリアなど、すべての物理的要素を正確に再現します。
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搬送ロボット: 導入を検討しているAGVやAMRの車種、速度、バッテリー容量、充電時間といった詳細なスペックを設定します。
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搬送物: どのような荷物を、どこからどこへ、どのくらいの頻度で運ぶのか、そのサイズや重さ、運搬にかかる時間などを定義します。
2. 評価・分析の主要項目
モデルが完成したら、実際の運用を想定したシミュレーションを実行し、以下の主要項目について分析します。
1. 搬送効率とボトルネックの特定
シミュレーションで最も重要な目的の一つが、搬送効率の評価です。
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搬送時間: 荷物が指定の場所へ運ばれるまでの平均時間や、ロボットが1日のうちにどれくらいの時間稼働しているかを算出します。
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ロボットの稼働率: ロボットが実際に荷物を運んでいる時間の割合を分析します。稼働率が低すぎる場合は台数が多すぎる可能性があり、高すぎる場合はボトルネックが発生するリスクがあります。
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渋滞・衝突: 複数のロボットが同じ通路に集中したり、交差点で交差したりすることで発生する渋滞や、潜在的な衝突リスクを可視化し、改善策を検討します。
2. 最適なロボット台数の算出
シミュレーションは、最適なロボットの台数を決定するのに非常に役立ちます。
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過剰投資の回避: 多くの台数を導入すれば確かに搬送はスムーズになりますが、コストが無駄になります。シミュレーションで必要な台数の上限を見極めます。
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搬送能力不足の解消: 台数が少なすぎると、搬送依頼が滞り、現場の生産性に悪影響を及ぼします。シミュレーションを通じて、生産目標を達成するために最低限必要な台数を把握できます。
3. 充電設備の配置計画
搬送ロボットは定期的に充電が必要です。充電ステーションの配置が悪いと、ロボットが充電のために長距離を移動したり、充電待ちの行列ができたりして、全体の効率が低下します。シミュレーションでは、充電ステーションの最適な数と配置を検討できます。
まとめ
搬送シミュレーションは、単なる未来予測ではありません。モデル構築から詳細な分析までを行うことで、ロボット導入によるメリットを最大限に引き出し、同時に潜在的なリスクを事前に排除するための、科学的なアプローチです。このプロセスを経ることで、コストを抑えつつ、スムーズで効率的な自動搬送システムを構築できます。