Timerイベントの現実的な最短周期はどれくらいか?

結論

Timerイベントの現実的な最短周期は、10~15ms程度が一般的です。これは、タイマーの種類や実行環境によって変動しますが、OSのタイマ精度やイベント処理のオーバーヘッドを考慮すると、それ以下の周期を正確に維持するのは困難です。


Timer周期に制約がある理由

1. OSのタイマ精度

Windowsや多くの一般的なOSでは、システムタイマの精度(タイマティックと呼ばれる内部クロックの最小間隔)が制約となります。

  • 通常、Windowsのシステムタイマは15.6msの精度で動作します。
  • 高精度タイマ(High-Resolution Timer)を利用する場合でも、理論的には1ms以下の分解能が可能ですが、システム負荷やタイマ設定が影響します。

2. タイマーの種類と実装

.NETのタイマー(例: System.Timers.TimerSystem.Threading.Timer)には、それぞれの設計上の特性があります。

  • System.Timers.TimerSystem.Threading.Timerは内部的にスレッドプールを使用しているため、バックグラウンドスレッドのスケジューリングによる遅延が発生します。
  • WindowsフォームやWPFで使用されるSystem.Windows.Forms.TimerはUIスレッドで動作するため、UIの負荷が高い場合に正確な間隔が維持できません。

3. イベント処理のオーバーヘッド

タイマーイベントが発生すると、その処理がスレッドで実行されますが、以下の要因が遅延を引き起こします。

  • イベントキューの待機時間
  • イベント処理中の他の負荷(CPU使用率、I/O操作)
  • スレッド切り替えのコスト

理想と現実のギャップ

理論上は1ms単位の精度を求められる場合もありますが、以下の理由から現実的には10ms程度が下限となります。

周期 理論的な可能性 現実的な課題
1ms ハードリアルタイムシステムRTOS)で実現可能 Windowsの標準タイマでは困難
5ms 高精度タイマで理論上可能 スケジューリング遅延が影響
10~15ms 現実的に安定 Windowsや汎用OSでの標準的な下限
50ms以上 安定して動作 負荷の影響を受けにくい

現実的な最短周期の確認方法

1. High-Resolution Timerを利用する

Windows環境では、timeBeginPeriod APIを使用してタイマの精度を変更することで、短い周期を試みることができます。ただし、これはシステム全体に影響するため慎重な運用が必要です。

2. 実験的に計測する

以下はVisual Basicを使ってタイマイベントの実際の周期を計測する例です。

 
Imports System.Timers
Module Program
 Private myTimer As Timers.Timer
 Private lastEventTime As DateTime = DateTime.Now
 Private eventCount As Integer = 0
 Sub Main()
  myTimer = New Timers.Timer(10) ' 10msのタイマを設定
  AddHandler myTimer.Elapsed, AddressOf OnTimerElapsed   myTimer.AutoReset = True myTimer.Start()
  Console.WriteLine("Timer 実行中... Enterキーで終了します。")   Console.ReadLine() myTimer.Stop()
 End Sub
 Private Sub OnTimerElapsed(sender As Object, e As ElapsedEventArgs)
  Dim currentTime As DateTime = DateTime.Now
  Dim interval As Double
   = (currentTime - lastEventTime).TotalMilliseconds
  lastEventTime = currentTime eventCount += 1
  If eventCount Mod 10 = 0 Then
   Console.WriteLine($"周期: {interval} ms")
  End If
 End Sub
End Module

実行結果の例

  • 設定周期: 10ms
  • 実測周期: 10~15msの範囲で変動

もっと短い周期が必要な場合の対応策

1. リアルタイムOSRTOS)の使用

汎用OS(WindowsLinux)では正確な1ms以下の周期を保証するのが難しいため、リアルタイム性が求められるシステムではRTOS(例: FreeRTOS、VxWorks)を使用するのが一般的です。

2. ハードウェアタイマの活用

精度が必要な処理は、CPUやマイコンのハードウェアタイマを直接利用することで実現可能です。これは、Windowsアプリケーションではなく、組み込みシステムでのアプローチです。

3. 処理負荷の削減

タイマーイベントの処理を可能な限り軽量化し、タイミングの正確性を向上させます。例としては、複雑な処理を別スレッドにオフロードする方法があります。


まとめ

現実的なタイマーイベントの最短周期は10~15ms程度です。
これは、OSのタイマ精度、タイマの実装、イベント処理の負荷などの要因によります。もしこれより短い周期が必要であれば、リアルタイムOSやハードウェアタイマの活用を検討する必要があります。

正確なタイミングを維持するには、以下の点を考慮することが重要です:

  • 必要な精度に基づき適切な方法を選択する
  • 処理負荷を最小限に抑える
  • 実測値を確認しながら動作を評価する

10msの壁を理解し、それを超えるアプローチを選択することが、開発の質を向上させる第一歩です!