電気設備や建築物の設計・施工では、「ボンディング」という重要な技術があります。これは、設置線や導電性のある部分を同じ電位にすることで、安全性を確保するための方法です。本記事では、ボンディングの基本的な仕組みや目的、重要性についてわかりやすく解説します。
ボンディングとは?
ボンディング(Bonding) とは、複数の導電性部材や接地線を電気的に接続し、それらを同じ電位(ポテンシャル)に保つ技術です。これにより、電気的な安全性を高めるとともに、設備や人への電気的な危害を防止します。
たとえば、建物内の金属管、配電盤、機器筐体などを接地し、それらをボンディングによって同じ電位に保つことで、感電事故や設備の損傷を防ぐ効果があります。
ボンディングの目的
1. 感電事故の防止
ボンディングは、誤って金属部品に電気が流れた際に、それを迅速に地面へ逃がす経路を提供します。これにより、金属部品に触れた人が感電するリスクを低減します。
2. 電位差の解消
異なる金属部品間に電位差があると、アーク(放電)や電流の流れが発生し、火災や機器の故障を引き起こすことがあります。ボンディングはこれを防ぎ、システム全体の電気的安定性を向上させます。
3. 雷サージからの保護
雷が建物や設備に落ちた場合、発生する高電圧を迅速に地面へ逃がすことができます。これにより、電子機器や建築物を雷害から守ります。
4. 電磁的干渉(EMI)の抑制
ボンディングは、接地系統が安定することで電磁波干渉(EMI)を抑制し、特に高周波信号を使用する通信機器や電子機器におけるノイズ低減に寄与します。
ボンディングの種類
1. 主接地(Main Bonding)
すべての接地線や導電性部材を建物の主接地端子(Main Earthing Terminal, MET)に接続する方法です。これにより、建物全体の電位が均一に保たれます。
2. 補助ボンディング(Supplementary Bonding)
主接地以外で、特定の設備や配線内の金属部材を接続する方法です。たとえば、浴室の水道管や金属製の器具などを接続して、局所的な電位差を防ぎます。
3. 等電位ボンディング(Equipotential Bonding)
建物内の全ての金属部品を接地し、等電位に保つための方法です。配管やフレーム、導電性床材などを接続して、人体への危害を防ぎます。
ボンディングの仕組み
ボンディングは、以下のような要素で構成されます:
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導電性部材の接続
金属管、配電盤、機器の筐体などを銅線やその他の導電性材料で接続します。 -
接地系統への接続
ボンディングした部材は、接地線を介して地面と接続されます。これにより、過剰な電流や電位差を地面に逃がします。 -
接続箇所の保護
接続箇所は腐食や機械的損傷を防ぐため、耐久性の高い素材やコーティングが施されます。
ボンディングに関する規格と基準
ボンディングは安全性に関わるため、国際規格や法的基準に従って設計・施工する必要があります。以下は代表的な規格の例です:
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IEC 60364
国際電気規格であり、電気設備における接地とボンディングの詳細が記載されています。 -
JIS(日本工業規格)
日本国内では、JIS C 60364などでボンディングに関する基準が規定されています。 -
電気設備技術基準
日本では電気設備技術基準や内線規程が、ボンディングに関する具体的な施工基準を定めています。
ボンディングの具体的な活用例
1. 住宅やビルの電気設備
水道管やガス管、金属製のフレームなどをボンディングし、感電事故を防ぎます。
2. 工場や発電所
高電圧機器や大型の金属フレームが多い工場では、ボンディングが欠かせません。特に電磁波干渉を抑える効果が重要視されます。
3. 医療施設
医療機器が多い施設では、電位差によるノイズや誤動作を防ぐため、ボンディングが徹底されています。
4. 通信設備
通信タワーやデータセンターでは、雷害や電磁干渉のリスクを軽減するため、接地とボンディングが必須です。
ボンディングにおける注意点
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正確な施工
ボンディングの施工が不適切だと、電位差を完全に解消できず、感電事故や設備障害の原因になります。 -
腐食への対策
長期間使用される導電部材は、腐食や酸化による劣化を防ぐため、適切な素材選びが必要です。 -
定期的な点検
接続箇所の緩みや断線を防ぐため、定期的な点検が欠かせません。
まとめ
ボンディングは、電気設備の安全性を確保するための基本的な技術です。感電事故の防止や雷害対策、電磁干渉の抑制など、多くの場面でその効果を発揮します。電気設備の設計や施工においては、適切な基準に基づいたボンディングの実施が欠かせません。
「電気の安全性」を支える重要な仕組みとして、ボンディングの重要性を理解し、正しい施工と点検を行いましょう。