WWDC25の革新的な発表で、ソフトウェアとハードウェアの融合をさらに進めるApple。しかし、その華やかな新製品やサービスを支える「儲けの仕組み」は、一体どうなっているのでしょうか?
2025年5月1日(米国時間)に発表されたAppleの2025会計年度第2四半期(2025年1月〜3月期)の業績発表は、その実態を浮き彫りにしています。今回は、最新の決算データに基づき、Appleがどの製品やサービスで収益を上げ、どこで高利益率を叩き出しているのかを、分かりやすく解説していきます。
2025年第2四半期決算ハイライト:全体像
まず、Apple全体の業績を見てみましょう。
- 売上高: 954億ドル(前年同期比 +5%)
- 希薄化後1株当たり利益(EPS): 1.65ドル(前年同期比 +8%)
全体として、堅調な増収増益を達成しており、特に厳しい経済状況が続く中でも成長を維持していることが伺えます。では、この売上と利益は、具体的にどのセグメントから生まれているのでしょうか?
売上構成比:iPhoneは依然として主役、サービスが猛追!
Appleの売上は、大きく「製品(Products)」と「サービス(Services)」の2つの部門に分かれます。
【2025年第2四半期 売上内訳(約)】
- 製品部門: 687億ドル(前年同期比 +2.7%)
- サービス部門: 266億ドル(全体の約28%、前年同期比 +11.6%)
iPhoneが絶対的エースは変わらず
見ての通り、iPhoneは依然としてAppleの売上の約半分を占める、圧倒的な稼ぎ頭です。iPhone 16eの投入なども寄与し、前年同期比で増加を続けています。Appleのビジネスモデルは、iPhoneという強力なハードウェアを基盤に成り立っていると言えるでしょう。
サービス部門が成長の牽引役
しかし、注目すべきはサービス部門の力強い成長です。前年同期比で2桁成長を記録し、売上全体の約3割を占めるまでに拡大しています。App Store、Apple Music、iCloud、Apple TV+、Apple Pay、AppleCareなどが含まれるこの部門は、iPhoneなどのハードウェア販売に依存しない、安定した収益源としてその存在感を高めています。特に、日本市場でのサービス部門の成長は顕著であるという報告もあります。
MacとiPadの回復
前四半期には苦戦したMacとiPadも、それぞれ+6.7%と+15.2%の成長を記録し、回復傾向を示しました。これは、Mシリーズチップを搭載した新型モデルの好調が影響していると考えられます。iPadの2桁成長は特に目を引きます。
一方で、Apple WatchやAirPodsなどが含まれる「ウェアラブル、ホーム、アクセサリー」部門は、微減となりました。
利益構成比:Appleの「隠れた金鉱」はサービス部門!
売上高は製品部門が大きいものの、利益率という観点では全く異なる景色が見えてきます。
Appleは製品別の正確な利益率を公開していませんが、一般的にサービス部門が非常に高い利益率を誇るとされています。
- サービス部門の粗利率: 2025年第2四半期で75.7%と報告されており、前四半期からさらに改善しています。
- 製品部門の粗利率: 同期の製品全体の粗利率は35.9%とされており、サービス部門と比較すると約半分程度です。
この数字が示すのは、AppleがiPhoneなどのハードウェアを販売する際に得られる利益よりも、App Storeの手数料、Apple MusicやiCloudのサブスクリプション料金など、サービスから得る利益の方が圧倒的に高いということです。
つまり、Appleのビジネス戦略は、iPhoneで巨大なユーザーベースとエコシステムを構築し、そのユーザーに対して継続的に高利益率のサービスを提供し続けることで、安定した収益を確保していると言えます。ユーザーがiPhoneを使い続ける限り、App Storeでアプリをダウンロードし、Apple Musicで音楽を聴き、iCloudに写真を保存する、そのたびにAppleに収益が転がり込む仕組みになっているのです。
今後の展望:Apple Intelligenceとサービス部門のさらなる連携
WWDC25で発表された「Apple Intelligence」は、このサービス部門のさらなる成長を後押しする可能性を秘めています。
- Siriの強化: より賢くなったSiriは、Appleのサービス(Apple Musicでの選曲、Apple TV+でのコンテンツ検索など)へのアクセスをより容易にし、利用頻度を高めるでしょう。
- パーソナライズされた体験: Apple Intelligenceがユーザーのデバイス上のデータを深く理解することで、各ユーザーに最適化されたサービスやコンテンツを提案できるようになり、サービスへのエンゲージメントを深めます。
- 上位機種への買い替え促進: Apple IntelligenceはA17 ProチップまたはMシリーズチップを搭載したデバイスでのみ利用可能であるため、これが新しいiPhoneやiPad、Macへの買い替え需要を刺激し、結果的にハードウェア販売にも良い影響を与える可能性があります。
まとめ:ハードウェアは入り口、サービスが稼ぎ頭のApple
Appleの業績を分析すると、iPhoneが依然として売上高の大部分を占める主力製品である一方、高成長と高利益率を誇るサービス部門が、Appleの収益の「質」を高め、持続的な成長を支えていることが明確に分かります。
Appleは、単に魅力的なデバイスを提供するだけでなく、そのデバイスを通じて提供されるソフトウェアとサービスの体験を深めることで、顧客との長期的な関係を構築し、強固な収益基盤を築いているのです。Apple Intelligenceの導入により、この傾向はさらに加速し、Appleはますます「サービス企業」としての顔を強めていくことでしょう。