FMEAとは?〜故障を未然に防ぐための分析手法〜

はじめに:FMEAとは何か?

FMEA(エフ・エム・イー・エー)とは「Failure Mode and Effects Analysis」の略で、日本語では「故障モード影響解析」と呼ばれる手法です。
製品やプロセスに潜む潜在的な故障(不具合)を事前に洗い出し、それが起きた場合にどのような影響があるかを評価して、あらかじめ対策を立てるための分析方法です。

元々はアメリカの航空宇宙業界で開発され、現在では自動車、製造業、医療、ソフトウェアなど、幅広い分野で使われています。


なぜFMEAが必要なのか?

  • 不具合の発見が遅れると、手戻りや損失が大きくなる

  • 事故や製品リコールのリスクを事前に減らせる

  • 品質保証・安全性向上のための重要なプロセス

FMEAは「まだ問題が起きていない段階」で使う予防的アプローチです。
トラブルの「想定外」を減らし、品質と安全を高めることができます。


FMEAの基本ステップ

FMEAは以下のようなステップで進めます:

  1. 対象の明確化
     例:製品の部品、ソフトウェアの機能、製造工程 など

  2. 故障モードの洗い出し(Failure Mode)
     → どのような故障・不具合が起き得るか?

  3. 影響の特定(Effects)
     → 故障が起きた場合、ユーザーやシステムにどのような影響があるか?

  4. 原因の分析(Causes)
     → 故障の背後にある要因は何か?

  5. リスクの評価(RPNの算出)
     Severity(重大度)× Occurrence(発生頻度)× Detection(検出可能性)
     → これにより「リスク優先度数(RPN)」を計算

  6. 対策の検討と実施
     → 優先度が高いものから、改善・予防策を立てる


RPN(リスク優先度数)とは?

評価項目 内容
重大度(Severity) 影響の深刻さ(1〜10)
発生頻度(Occurrence) 故障が起きやすさ(1〜10)
検出可能性(Detection) 故障を見つけられる確率(1〜10)※低いほど検出困難

これらを掛け算した数値がRPNです:

RPN = S × O × D

数値が高いほどリスクが大きく、優先的に対策を検討します。


実例:製造業のFMEA(簡易版)

例えば「ドリルで部品に穴を開ける工程」のFMEAを行ったとします。

故障モード 影響 原因 S O D RPN
穴位置がズレる 製品組立不可 治具の位置ずれ 8 6 7 336
穴径が小さい ネジが入らない ドリル摩耗 6 4 6 144

RPN 336 の方がリスクが高いため、優先して治具点検の仕組みを強化します。


FMEAの活用シーン

  • 製品開発時の品質設計

  • 製造ラインの立ち上げ時

  • ソフトウェア機能の安全評価(例:自動運転システムなど)

  • 医療機器や食品などのリスク管理


よくある課題と対策

課題 解決策
項目が多すぎて時間がかかる 最も重要な部分に絞って分析する(重点化)
数値評価が主観的になりがち チームで評価基準を明確にする
形骸化しやすい 改善策まで実施し、定期的に見直す文化を作る

おわりに

FMEAは一見「面倒」に見えるかもしれませんが、重大なリスクを未然に防ぐための強力なツールです。
やり方さえ身につければ、どんな業界でも応用できます。

品質向上、安全対策、コスト削減のために、FMEAをうまく活用していきましょう!