MermaidとDOTの比較:どちらを選ぶべきか?

グラフやダイアグラムを作成する際、MermaidDOT形式(Graphvizはどちらも優れた選択肢です。しかし、それぞれに特徴や適した用途が異なるため、使い分けが重要です。本記事では、MermaidとDOT形式を以下の観点で比較し、どちらが適しているかを考察します。

1. 基本概要と使用場面

項目 Mermaid DOT形式(Graphviz
概要 テキストベースで多様なダイアグラムを記述する軽量言語。主にMarkdownやWebで利用。 グラフ構造を記述するためのテキスト形式。Graphvizツールで使用される標準的な形式。
主な用途 フローチャート、シーケンス図、ガントチャートなど多様な図を簡単に作成。 グラフ構造やネットワークの可視化に強み。技術設計や複雑な依存関係図に適用。
適用範囲 ドキュメントやプレゼンテーション向けの視覚化。 ネットワーク設計やデータ構造の専門的な視覚化。

2. 記法の比較

Mermaidの記法例

mermaid
graph TD
 A[スタート] --> B[処理1]
 B --> C{条件}
 C -->|はい| D[処理2]
 C -->|いいえ| E[処理3]

メリット:

DOT形式の記法例

dot
digraph G {
 A [label="スタート"];
 B [label="処理1"];
 C [label="条件"];
 D [label="処理2"];
 E [label="処理3"];
 A -> B;
 B -> C;
 C -> D [label="はい"];
 C -> E [label="いいえ"];
}

メリット:

  • より細かいカスタマイズが可能。
  • ノードやエッジに詳細な属性を付加できる。

3. サポートするダイアグラムの種類

ダイアグラムタイプ Mermaid DOT形式(Graphviz
フローチャート ◎ 対応 ◎ 対応
シーケンス図 ◎ 対応 × 未対応
ガントチャート ◎ 対応 × 未対応
クラス図 (UML) ○ 対応可能 △ 複雑な記述が必要
ネットワーク構造 △ 基本的に対応 ◎ 高度に対応
依存関係の可視化 ○ 一部対応 ◎ 高度に対応

Mermaidはダイアグラムの種類が多様で、プレゼンやドキュメント向けに適しています。一方、DOT形式はネットワーク構造やデータ構造の表現に特化しており、技術者向けです。


4. ツールとの統合性

項目 Mermaid DOT形式(Graphviz
対応ツール GitHub、GitLab、Obsidian、Notionなど。Markdownをサポートするツールで広く利用可能。 Graphvizツールおよびそのライブラリを介して使用。PythonC++などで統合可能。
エクスポート形式 PNGSVG、HTML PNGSVG、PDF、DOTファイルそのもの
リアルタイムプレビュー ◎ Mermaid Live Editorで可能 Graphvizはプレビュー環境が限定的

Mermaidはドキュメント作成ツールとの親和性が高く、Markdownでの利用が簡単。一方、DOT形式はプログラム的にグラフを生成する場合に有利です。


5. 可読性と学習コスト

項目 Mermaid DOT形式(Graphviz
記述の簡潔さ ◎ 簡潔 △ 冗長になりやすい
学習コスト 低い やや高い

Mermaidは記法が直感的で初心者でも扱いやすいのが特徴です。DOT形式は自由度が高い反面、詳細な設定を行う場合には記法を理解する必要があります。


6. メリット・デメリットのまとめ

Mermaidのメリット

  • 記法がシンプルで、Markdownに統合しやすい。
  • シーケンス図やガントチャートなど、多様なダイアグラムをサポート。
  • ブラウザベースで手軽にプレビュー可能。

Mermaidのデメリット

  • カスタマイズ性が制限されている。
  • 複雑なグラフ(例: ネットワーク構造)には不向き。

DOT形式のメリット

  • 高度なカスタマイズが可能。
  • 複雑なグラフや大規模なネットワークの可視化に対応。
  • Graphvizツールで豊富な出力形式をサポート。

DOT形式のデメリット

  • 記法がやや複雑で学習コストが高い。
  • Markdownに直接統合するのは難しい。

どちらを選ぶべきか?

Mermaidを選ぶべき人

  • Markdownを多用する人。
  • ドキュメントやプレゼンテーション向けに、簡単で視覚的なダイアグラムが必要な場合。
  • プログラミング経験が少ない初心者。

DOT形式を選ぶべき人

  • ネットワーク構造やデータ構造を視覚化したい技術者。
  • 高度なカスタマイズが求められる場面。
  • 大規模なグラフや複雑な依存関係を管理したい場合。

まとめ

MermaidとDOT形式にはそれぞれ得意分野があり、使用目的によって選択が変わります。
簡単で幅広い用途に使えるMermaidは、ドキュメント作成やプレゼンに適しています。一方、専門性の高いグラフを扱う場合にはDOT形式が強力なツールです。

両方を試し、自分のニーズに合ったツールを活用してみてください!