ユーロ7は、欧州連合(EU)が制定した自動車の排出ガス規制の最新基準で、乗用車や商用車、バス、トラックに適用されます。主に、大気汚染物質の削減や、よりクリーンな交通環境の実現を目的としています。ユーロ7規制は、従来のユーロ6規制をさらに厳格化したもので、車両の製造・使用において環境に与える影響を最小限に抑えることを目指しています。
ユーロ7規制の背景
欧州では、大気汚染が健康や環境に与える影響が問題視されています。特に、都市部での排出ガスによる健康被害が深刻化しており、気候変動への対応も急務となっています。このような背景から、既存のユーロ6規制をさらに強化し、ゼロエミッション社会の実現に向けてユーロ7が導入されることになりました。
主な変更点と特徴
ユーロ7規制では、従来の規制と比べて以下の点が強化されています。
1. 排出ガス基準の厳格化
2. 電動車両にも適用
3. 車両寿命全体での排出制御
- 車両の寿命を通じて排出基準を満たす必要があります。
- 例えば、軽自動車では走行距離20万kmまで、トラックでは走行距離70万kmまで規制を遵守しなければなりません。
4. リアルワールド測定
- 実際の運転条件に基づいた排出量の測定(RDE: Real Driving Emissions)が義務付けられます。
- 一部の試験は極端な温度や交通状況でも行われる予定です。
5. デジタルモニタリング
- 排出ガスデータのリアルタイム監視が導入される可能性があります。
- 車載システムが排出量を記録し、当局に報告できる仕組みが検討されています。
ユーロ7の導入時期
ユーロ7規制の適用開始時期は以下の通りです(2024年時点の情報):
- 乗用車・小型商用車:2025年7月
- 大型車(トラック・バス):2027年7月
ユーロ7が自動車産業に与える影響
1. コストの上昇
- 厳しい規制に対応するため、自動車メーカーは新たな技術開発や試験を行う必要があります。その結果、車両価格が上昇する可能性があります。
2. 技術革新の促進
- 電動化や排出削減技術の進化が加速します。特に、ゼロエミッション車(EVや燃料電池車)の市場拡大が期待されています。
3. ディーゼル車の減少
- 高コストの浄化装置が必要になるため、ディーゼル車の競争力が低下し、減少する傾向が進む可能性があります。
4. 中小メーカーへの影響
- 規制への対応が難しい中小メーカーにとっては、競争がさらに厳しくなるでしょう。
ユーロ7が目指す未来
ユーロ7規制は、単に自動車の排出量を削減するだけでなく、地球環境全体への負荷を軽減し、健康被害を抑えることを目的としています。また、この規制は、EUがカーボンニュートラルを目指す2050年目標の一環ともなっています。