Debianはその安定性と長期サポートで知られており、サーバーやエンタープライズ環境でも多く利用されています。Debian 12.0 Bookwormは、さらなるセキュリティ強化とパフォーマンス向上を実現しています。本記事では、Debian 11 (Bullseye) を安全に Debian 12 (Bookworm) へバージョンアップする方法をステップごとに解説します。
1. アップグレード前の準備
Debianのバージョンアップ前にいくつか重要な準備作業があります。
バックアップの作成
バージョンアップ作業では、万が一のトラブルに備えてシステム全体のバックアップを作成することが推奨されます。重要なデータや設定ファイルを外部ストレージにバックアップしておきましょう。
例:rsyncを使用してバックアップを作成する
アップデートを確認する
次に、現在のシステムが最新の状態になっていることを確認します。
古いパッケージのクリーンアップ
システムに残っている不要なパッケージや、依存関係の解決済みのパッケージを削除します。
sudo apt autoremove
2. ソースリストの変更
Debianのバージョンアップは、ソフトウェアリポジトリのURLを更新することから始まります。現在のリポジトリ設定は、/etc/apt/sources.list
ファイルに保存されています。このファイルを編集し、bullseye
という文字列を bookworm
に変更します。
/etc/apt/sources.list
ファイルの編集
nano
エディタを使用してソースリストを開きます。
次に、すべてのbullseye
という記述をbookworm
に変更します。例えば、以下のように変更します。
変更前:
deb http://deb.debian.org/debian bullseye main contrib non-free
deb http://security.debian.org/debian-security bullseye-security main contrib non-free
deb http://deb.debian.org/debian bullseye-updates main contrib non-free
変更後:
deb http://deb.debian.org/debian bookworm main contrib non-free
deb http://security.debian.org/debian-security bookworm-security main contrib non-free
deb http://deb.debian.org/debian bookworm-updates main contrib non-free
ファイルを保存してエディタを閉じます(Ctrl + O
で保存し、Ctrl + X
で終了)。
3. 新しいパッケージリストを更新
ソースリストを更新した後は、新しいバージョンのパッケージ情報を取得するために、以下のコマンドを実行します。
4. システムのアップグレード
システムをDebian 12 (Bookworm)にアップグレードするために、以下のコマンドを使用します。
パッケージのアップグレード
まずは既存のパッケージをアップグレードします。
フルアップグレードの実行
次に、システム全体を完全にアップグレードします。apt full-upgrade
は依存関係の変更がある場合でもシステムを最新の状態に保つための重要なステップです。
5. システム再起動
アップグレードが完了したら、システムを再起動して変更を反映させます。
再起動後、以下のコマンドを使ってDebianのバージョンを確認できます。
これで、Debian 12.0 Bookwormへのアップグレードが完了しました。システムが正常に動作しているか、必要なサービスが正しく起動しているかを確認してください。
6. 不要なパッケージの削除
最後に、アップグレード後に残っている古いパッケージや依存関係を削除してシステムをクリーンに保ちます。
sudo apt autoremove
まとめ
Debian 11 (Bullseye) から Debian 12 (Bookworm) へのアップグレードは、ソースリストの編集といくつかのコマンド操作で簡単に行うことができます。アップグレードによってセキュリティの強化やパフォーマンスの向上が期待でき、よりモダンな環境でDebianを利用できます。
アップグレード前に必ずバックアップを取り、安定したインターネット接続環境で作業を行うことが大切です。